CSR分析 カゴメ株式会社(2017)

今回は、大手食品メーカーであるカゴメ株式会社のCSR報告書を分析していきます。

概要

  • 生産段階における余剰物・廃棄物の再資源化やリサイクルの取り組みは順調である一方で、原料調達や流通段階における廃棄物削減はあまり進んでいない
  • 流通段階における2015年度のカゴメグループ工場での廃棄量は1,421トンで、2014年度の1,457トンに比べて約2%減少した
  • トマトの栽培時に出る葉や茎を発酵させて肥料に、水耕栽培にて使用するスラブなどを堆肥や土壌改良材に再資源化している

カゴメの事業内容

カゴメは1899年に創業、農業を営んでいた創業者蟹江一太郎氏がトマトの栽培に着手し、初めて発芽を見た時からその歴史が始まっています。以来、トマトを原料としたトマトケチャップやウスターソース、トマトジュースなどの商品を手がけ、現在もなお中心となっている事業です。
さらに、加工食品だけに限らず、農業から生産・加工・販売と事業範囲を拡大し、一貫したバリューチェーンを持つユニークな企業となっています。
 
現在、カゴメグループの事業領域は下記の3つです。

f:id:sdaisuke:20171026142518p:plain

 
全ての事業が食に関係していますが、フードロスという観点からすると、下記がポイントになりそうです。
・食の生産、加工、流通、販売を一貫して行う垂直統合型ビジネスモデル
・国内外の契約農家及び加工メーカーからの原料調達
 
では、カゴメの事業内容について把握した上で、フードロスの現状及び改善に向けた取り組みについて見ていきます。
 

カゴメのフードロスの現状

下図はカゴメ環境負荷の全体像です。上記で述べたように、カゴメはフードチェーン全体に渡って事業に取り組んでいるため、様々な領域で廃棄物(フードロス)が発生しています。

f:id:sdaisuke:20171026150505p:plain


こちらは2013年から2015年までの中期環境計画の一部です。

f:id:sdaisuke:20171026152553p:plain

廃棄物削減と資源循環に関しては、再資源化やリサイクルの取り組みは順調に進んでいる一方で、原料調達や流通段階における廃棄物削減は未達成であることがわかります。

各段階ごとに廃棄物排出の状況や改善に向けた取り組みについて見ていきます。

生産段階の状況

●ゼロエミッションの達成・維持
カゴメは生産余剰物の削減と再資源化に積極的に取り組んでおり、現状は下記のようになります。
・生産余剰物のうち植物性余剰物・汚泥は2001年度に再資源化率100%を達成し、現在も継続している
・2006年度以降は国内全7工場でゼロエミッションを維持している
※ゼロエミッション:生産余剰率の99%以上を再資源化すること(カゴメ独自の定義)

●生産余剰物への取り組み
下記は、ここ6年間における生産余剰物量の推移となります。

f:id:sdaisuke:20171030042643p:plain

2015年度における生産余剰物量は9,911トンで、2014年度の9,510トンに比べて約4.2%増加しました。

次に生産量あたりの生産余剰物量を見ていきます。

f:id:sdaisuke:20171030042659p:plain

2015年度の生産量あたりの生産余剰物量は25.8kg/klで、2014年度の24.2kg/klに比べて約6.2%増加しました。

●食品リサイクル法への対応
カゴメは、食品リサイクル法を遵守するため、生産余剰物や廃棄商品の再資源化を進めています。
※食品リサイクル法:食品製造業における再生利用等の実施率目標は2014年が85%、2015年が
95%と指定されている

f:id:sdaisuke:20171030042949p:plain

2015年度の食品循環資源の生成利用等の実施率は96.8%であり、目標数値の95.0%を達成しています。

上記をまとめると、生産段階における余剰物・廃棄物の96.8%は飼料・肥料・再生原料として再資源化されているが、削減の取り組みはあまり進んでいないことがわかります。

流通段階の状況

続いて、流通段階におけるフードロスの現状を見ていきます。

●商品・原材料の廃棄物削減
下記は、ここ6年間における商品・原材料の廃棄量の推移です。
f:id:sdaisuke:20171026151549p:plain
2015年度のカゴメグループ工場での廃棄量は1,421トンで、2014年度の1,457トンに比べて約2%減少しました。減少した理由については、具体的に述べられていませんでした。
2014年度は、販売不振による出荷期限超えの廃棄が増加し、2013年度に比べて約7%増加しています。この増加分により、廃棄物削減への取り組みの成果が見えにくくなっていると思われます。

ここまで生産段階と流通段階の現状を見てきましたが、やはり余剰物・廃棄物の削減に関してはあまり進んでいないように見受けられます。この点に関して、参考になるのがカゴメの環境会計のデータです。

f:id:sdaisuke:20171030052957p:plain

環境省によれば、環境会計は下記のように定められています。
環境会計とは、企業等が、持続的な発展を目指して、社会との良好な関係を保ちつつ、環境保全への取組を効率的かつ効果的に推進していくことを目的として、事業活動における環境保全のためのコストとその活動により得られた効果を認識し、可能な限り定量的(貨幣単位又は物量単位)に測定し伝達する仕組みです。

(引用:環境省_環境会計

上記を踏まえ、カゴメの環境会計を見ると、事業エリア内コストにおける資源循環コストの投資額がゼロであることがわかります。そのため、現段階では資源循環よりも公害防止や地球環境保全への取り組みを優先している可能性が考えられます(あくまで環境会計のみから見た仮説)。

とはいえ、やはり上記のデータだけでは正確に把握することができません。廃棄物(フードロス)の削減に向けてどのような取り組みをし、どれだけリソースを費やしたのか、それぞれの取り組みの成果はどうだったのか、1つ1つ指標を設けて明示されることを期待したいと思います。


カゴメの廃棄物(フードロス)の改善に向けた取り組み

カゴメは、上記以外にも廃棄物(フードロス)の改善に向けた取り組みをしています。

環境負荷を低減した生鮮トマト栽培の実践
カゴメは大型温室を使用してトマトを栽培していますが、環境負荷を低減するため様々な取り組みをしています。廃棄物という観点では、栽培時に出るトマトの葉や茎を発酵させて肥料に、水耕栽培にて使用するスラブなどを堆肥や土壌改良材に再資源化しています。

f:id:sdaisuke:20171030061320p:plain


●リサイクルしやすい包装
商品の包装材として、リサイクル率が高いダンボールを利用しています。

f:id:sdaisuke:20171030061251p:plain

 

引用文献)

 

まとめ

  • 生産段階における余剰物・廃棄物の再資源化やリサイクルの取り組みは順調である一方で、原料調達や流通段階における廃棄物削減はあまり進んでいない
  • 流通段階における2015年度のカゴメグループ工場での廃棄量は1,421トンで、2014年度の1,457トンに比べて約2%減少した
  • トマトの栽培時に出る葉や茎を発酵させて肥料に、水耕栽培にて使用するスラブなどを堆肥や土壌改良材に再資源化している
  • 廃棄物(フードロス)の削減に向けてどのような取り組みをし、どれだけリソースを費やしたのか、それぞれの取り組みの成果はどうだったのか、1つ1つ指標を設けて明示されることを期待したい