おすすめのMFCA入門書「ムダを利益に料理する マテリアルフローコスト経営」

フードロスに関して”データ”という観点から色々と模索していますが、最近、アプローチの1つとして”MFCA(マテリアルフローコスト会計)”が気になっています。

MFCAは、「ムダになっている部分を見える化・改善して、環境に貢献しながら、コストを削減しよう」という計算手法や経営の考え方です。

そこで今回は、MFCAに関するおすすめの入門書「ムダを利益に料理する マテリアルフローコスト経営」をご紹介します。

ムダを利益に料理する マテリアル フロー コスト経営

ムダを利益に料理する マテリアル フロー コスト経営

 

本書では、MFCAについて身近な例をもとにわかりやすく説明されています。企業だけでなく、個人でも活用できる考え方なので、「日頃、ムダにしている部分(物、お金、時間等)を有効活用したい」と思っている方はぜひ参考にしてみてください。

MFCAとは?

近年、私たち人類が豊かな暮らしを追い求めた結果、資源の枯渇や地球温暖化など環境問題が深刻な状況となっています。そのため、企業は自社の経営だけでなく、事業活動を通して社会や環境に対する責任(CSR)を果たすことが求められています。

そこで注目されているのが「経済と環境の両立」を図る会計手法であるMFCAです。
マテリアルフローコスト会計(Material Flow Cost Accounting、略してMFCA)は、製造プロセスにおける資源やエネルギーのロスに着目して、そのロスに投入した材料費、加工費、設備償却費などを”負の製品のコスト”として、総合的にコスト評価を行う原価計算、分析の手法です。MFCAを使って分析、検討されるコストダウン課題は、省資源や省エネにもつながっていきます。
(引用:MFCA マテリアルフローコスト会計

企業はMFCAを活用することで、コストの削減と環境負荷の低減を両立して取り組むことができます。CSR活動を行う上で、まさにうってつけの方法というわけです。

本書は、日東電工株式会社において日本で初めてMFCAを導入した方々による著書です。会計手法というとっつきにくいものを、身近な例を参考にわかりやすく説明されています。また企業への導入方法や日東電工の実例、国際標準化に至った経緯など様々なコンテンツが詰まっています。

MFCAを身近な例で考えてみる

本書では、MFCAについて料理という身近な例で説明されています。

例えば、100個のりんごを使って、リンゴジャムを作るケースを考えてみましょう。
リンゴジャムを作るためには、まずリンゴの皮を包丁で剥き、芯を取り、小さく切ります。そして、砂糖、水、レモンと一緒に煮込むことでジャムを作ることができます。


ここで、リンゴジャムを作るために使用したものを”インプット”、実際に作ったリンゴジャム及び作る過程で発生したロスを”アウトプット”とします。発生したロスとしては、リンゴの皮や煮込んだ際に容器に付着したジャムなどが思い浮かびます。

また、MFCAでは全ての材料を同様に扱うために、単位を均一にした後(今回は質量)、金額や環境への影響度に換算します。

これらをまとめたものが下記の表です。
f:id:sdaisuke:20171205202205p:plain

(引用:本書を参考に筆者が作成)

突然数字が出てきて困惑するかもしれませんが、特に見ていただきたいのが赤文字の数字です。

今回は、リンゴ・砂糖・水・レモン汁の4種類の材料を使用しましたが、これらを金額で表すと19,206円分となります。そして調理した結果、実際に作ったリンゴジャムが15,126円、それ以外のムダな部分が4,080円相当となりました。

ムダな部分にあたる4,080円の中身を詳しく見ていくと、3,750円のリンゴがその大半を占めていることがわかります。つまり、調理する段階で発生したリンゴの皮がロスの主な原因であるということです。

そこで今度は、包丁の代わりにピーラーを使ってリンゴの皮を向き、同じ量のリンゴジャムを作ることにしました。

その結果をまとめたものが下記の表です。

f:id:sdaisuke:20171205202607p:plain

(引用:本書を参考に筆者が作成)

同様に見ていくと、先ほど3,750円分出ていたリンゴのロスが2,250円に変わっていることがわかります。ピーラーを使ったことで、リンゴの皮のロスを減らすことができたのです。

その分をリンゴのジャムの材料に使用できるので、インプットの合計金額が19,206円から17,706円に減少しています。そのため、元々はリンゴを100個使用していましたが、90個で同量のリンゴジャムを作ることができました。

上記をまとめると、包丁の代わりにピーラーでリンゴの皮を剥くことで、

  • 使用するリンゴの量が減り、節約することができた(経済面のメリット)
  • 廃棄するリンゴの皮の量が減り、ゴミの量を減らすことができた(環境面のメリット)

となります。

このように何らかの工程を物量や金額、環境への影響度などで見える化し、どこにムダがあるかを把握し、ムダを少なくする方法を考え、アクションを起こす、この一連の流れをMFCAと言います。

MFCAを企業の業務改善に活用する

上記では、身近な料理を例に説明しましたが、企業の業務改善にもMFCAを活用することができます。

導入の仕方は先ほどの料理と同様で、下記のようなイメージになります。

f:id:sdaisuke:20171205205405p:plain
(引用:多彩なメニュー - 一般社団法人エコステージ協会 | 環境経営システム支援ツール


四角い材料から丸い製品を作るために型取りをした結果、その外側の部分が廃棄物となっています。通常はその廃棄物のみをロスとしますが、MFCAでは廃棄物に投入したエネルギーや加工コスト、処理コストなどもロスと見なします。

このロスを削減するために、元の材料の大きさを変えたり、リサイクルをするなど改善案を考えます。先ほどの「包丁の代わりにピーラーでリンゴの皮を剥く」という部分にあたるので、本当に一緒の流れですね。

このように料理の例と同様、MFCAをもとに改善策に取り組むことで、企業も経済面のメリットと環境面のメリットの両方を得ることができます。ここでは細かな説明はしませんが、本書では具体的な導入方法や計算過程、事例なども載っているので、ぜひ読んでみてください。

国際的にも注目され始めているMFCA

上記のように、コストの削減と環境負荷の低減が両立できるMFCAは、国際的にも認められたルールとなり、注目され始めています。

MFCAは、1990年代、ドイツのアウグスブルグ環境研究所(IMU)で誕生したものだそうです。その後、日本に持ち込まれ、経済産業省と各企業が導入を検討した結果、日東電工という成功事例が出たため、国内で急速な普及が進みました。

2007年、このMFCAを国際的なルールとするべく、本書の著者らが先頭に立ち、工業分野における国際標準を策定する国際的な非政府組織「ISO」に提案しました。各国の代表者にも呼びかけ、2011年、遂に日本発の環境に優しい規格としてMFCAが国際標準化されました。

国際的に認められたルールとなり、経済と環境を両立するという社会の動向にもマッチしているので、各国の企業らが導入を進めているそうです。

MFCAは「経済と環境の両立」を実現するマネジメントツール

このように、 MFCAは「経済と環境の両立」を実現するマネジメントツールとなります。環境への配慮を評価する動きが世界的に見られるので、こうした考え方はますます重要になってくるのではないでしょうか。

本書では、日常の活動から企業の業務改善まで、実際にMFCAを導入できるよう分かりやすく説明されているので、気になった方はぜひ読んでみてください。